「SPACEK」スペシャルインタビュー
2020年にAmber’sの名刺代わりとなる1st ALBUM『VOSTOK』をリリース。バンドとして本格始動していく様を表現し、未来への希望に想いを馳せた1枚だったが、その直後COVID-19により世の中は一変。外出もままならずライブもできないという絶望的な状況のなか、自分と向き合い、音楽と向き合い、2人は諦めることなく曲作りに邁進することを決意。SNSという「時代のツール」を最大限に生かし、この2年で100を超える曲を生み出し発信し続けた。2年間のAmber’sの活動の記録、これまでの音楽活動の集大成と言える2nd ALBUM『SPACEK』について二人に語ってもらった。
―『SPACEK』というタイトルにはどういう意味が込められているのでしょうか?
拓人
前作1st ALBUM『VOSTOK』の対になる作品にしたかったので、タイトルもそれに合わせて6文字の言葉を探しました。候補として『VOSTOK』で表現したかった宇宙へ飛び出したイメージの「SPACE」という言葉と、僕らの2年間の居場所という意味の「SPACE」、そしてそのベースとなったスタジオ(通称:K)を表す「K」を使って6文字の造語を作ってみたら、どんな言葉よりも全ての意味を網羅できた気がして自分たちの中では一番シックリきたんです。
こうき
『VOSTOK』をリリースしてまさに全国ツアーに行こう!という時に最初の緊急事態宣言が出て、スケジュールは全て白紙だしライブもできなくなって。このまま呆然としているだけでは本当に終わってしまうと思って僕たちはとにかく曲を作ってSNSで発信することにしました。それまでの曲作りのスタイルとは全然違うし、見えた世界も全然違う。いろんなことがあったこの2年間の音楽活動のなかで、選りすぐりの曲をパッケージしたアルバムになったので、それを表現するには『SPACEK』という言葉がベストだと思いました。
拓人
1曲目に収録した『春は必ず来る』は僕らが動き始めるきっかけになった曲です。『SPACEK』へ導いてくれたアルバムの”顔”と言えます。まだスタジオ「K」ができる前、TikTokも始めてなくて全部リモートでやり取りしながら作ったんですが、Twitterに上げたら予想を遥かに超えるリアクションがあったんです。
こうき
”こんな今を刻む歌を作ろう”と自分が感じていたことを素直に書いて「またいつか必ず笑顔で会おうね」というメッセージを込めた曲だったので、Twitterで「共感しました」「イイ曲ですね」といったコメントをたくさん頂いた時、SNSがあればリアルタイムのAmber’sをたくさんの人に受け取ってもらえるんだと手応えを感じることができました。
拓人
発信できる場所はある。こんな時だからこそ自分たちは曲を作って音楽を発信し続けよう、どんどん曲を作っていこう!と動き出しました。ここからアルバム『SPACEK』への道がスタートしました。
―2年間でSNSにアップした曲は100を軽く超えるそうですね。
拓人
この間に作った曲数はもっとあります。もともと僕たちは家で曲を作って素材ができたら集まる、ライブをするために外に出るというスタイルだったので、家に籠ることに抵抗は無かったけれどこの時期なのでお互いの家を行き来するよりも、一緒にいてどんどん曲を作って自分たちで配信できるような環境を作ったらもっと集中できるし効率がイイよね、と2人で住む場所を探して自分たちのスタジオ「K」を作りました。
こうき
元々Twitterでの発信はしていましたが、もっと近い距離で日常的にコミュニケーションが取れるように新たに始めたのがTikTokでした。たった2年前ですが、当時は自分たちの作った曲をフリー素材のようにTikTokに出して大丈夫なのかな?となかなか始められなかったけれど、コロナ禍で活動もままならない僕たちにはできることがそれしかなくて。今やれることは全てやろう!と後押しされる形でスタートしました。でも結果的にそれが僕らのエネルギーを向ける場所になっていきました。
拓人
ライブで感じるような反応と、SNSでの反応が全く違っていたんです。自分たちもSNS世代だと思っていたけれど、そこにいるリスナーは音楽に対して反応するポイントもプライオリティも僕らが狙っていたものとは全然違って正直ビックリしました。
こうき
料理とか演劇とか、音楽以外の他ジャンルの投稿で僕らの曲を使った動画がどんどん拡散していくのを見て、想定外の反響に僕らの目が開いたというか、飲み込まれたというか(笑)。どうやったら反応が出るのか研究するのも楽しかったですね。
拓人
もちろん反応が出る曲作りに偏ったりせず、あくまで自分たちの作りたい曲を毎日1つ、ワンフレーズをアップしていこうと決めたり、カバーはもちろん、こうきくんがどこまで高いキーで歌えるかとか、いろんなテーマを設定してTikTokに投稿する曲を作る日々になりました。
―TikTokが大きく何かを動かしたんですね。
こうき
そうなんです。曲を投稿し続けていたらある日突然視聴数が跳ね上がった曲が出たんです。
拓人
同じ時期にアップした『Question』と『アブノーマル』が見たことも無い視聴数になっていて、こうきくんやスタッフに「TikTokがスゴイ回っているみたいなんだけど、気付いてる??」ってわざわざ電話したくらいです。
こうき
TikTokで活躍されているなーゆ。さんがイラストを描いてくれたり、たくさんの人がこの曲を使って動画を投稿してくれて、繋がりが無限に増えていくのを目の当たりにしました。これがTikTokのスゴさなんだと認識しました。その後『Question』はドラマ「カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。~」の主題歌に選んで頂いたんですが、ドラマのプロデューサーの方もこの曲がTikTokで100万回以上再生されていることにも注目して下さったと聞きました。この2曲は僕ら自身、そして楽曲制作の新たな可能性を広げてくれました。
拓人
『アブノーマル』についてはTikTokにデモをアップしてから「フルバージョンはまだですか?」ってコメントをたくさん頂いたり、曲を発表した時も「待ってました!」と言ってもらったり。先にTikTokでサビを聴かせているので、みんなの想像を超えるAメロ、Bメロを準備しなきゃ納得してもらえない!と気合いを入れて臨みました。
こうき
『アブノーマル』の歌詞はけっこう苦戦したんです。最初は「今の若者が日々思っている鬱憤とか怒り」みたいなテーマでTikTok用の部分は形にしたのですが、いざフルバージョンを作る際にそこからどう展開にするか悩んでしまって。
―サビの部分や一部だけ先に発表するSNSならではの悩みですね。
こうき
どうしようか悩んでいた時、ある会議に参加したんです。会議ってそういうものだろうし、当たり前のことを当たり前のように話し合う会話を聞いていて、「それじゃダメだろ!もっと自分たちはアブノーマルでいたいんだ!」みたいなイメージが沸いてきて。その会議の次の日に一瞬で2番の歌詞が完成しました(笑)。自分のリアルな感覚を入れ込むことができたし、この曲の世界観を表現するミュージックビデオを作ろう!となった際に「絶対この人がイイ」とお願いしたのがダンサーのSota君 (GANMI)でした。それぞれ一発録りでお互いのパフォーマンスのシーンを重ね合わせたカッコいいMVも作ることができたので、ぜひチェックして欲しいです。若干苦労はあったけれど、TikTokから始まってフルバージョンを作ってMVまで作る、という流れができました。
拓人
大変だったといえば『生馴れNight』もそうだったよね。この曲は各国の音楽クリエイターが世界中のTikTokユーザーに向けてライブ配信・国際交流を促進するイベント「TikTok Music Festival Season2」に参加させてもらえることになって、Amber’sを知ってもらうチャンスだから「毎日アップしている自分たちの曲作りのスタイルをそのまま見せよう」と企画した時に作った曲なんです。海外の方も見てくれるので、「リズムは今っぽくしつつ、メロディは和テイストがイイかな」とか言いながらどんどん音を重ねていくのもリアルタイムだったので、緊張感もあってオモシロいよねって。
こうき
「お祭りに出かける男の子のデート」という設定でTikTokバージョンを作ったら、そこで物語の展開がキレイに完結してしまったんです。いざフルサイズにしようとしても、完結した物語の世界からどう展開して着地させればいいのか全く思いつかず完全お手上げ状態に。結果的に完成するまで1年くらいかかったかな(笑)。ある日突然、お祭りの中を歩く二人のイメージを想起して欲しいから「地元浅草の三社祭の笛の音を入れようかな」と浮かんだ瞬間から曲の展開が見えて再び動き出したんです。危うくお蔵入りになるところでした(笑)。
―苦労話が尽きませんね(笑)。
こうき
でもそれ以上に一番苦労したのは『Desire -欲情本能-』(ドラマ「明日、私は誰かのカノジョ」オープニング主題歌)でした。TikTok用ではなく、ちゃんと通常の楽曲制作に向き合ったはずの曲で追い込まれました(笑)。
拓人
今の自分たちを表現するために新しい曲を作ろう!とTikTok用ではなく、オリジナルで曲作りをすることにしたんです。TikTokでアップする曲はキャッチーでアップテンポの勢いあるメロディを意識していましたが、”僕らの今を伝えること”を重視するならバラードやミディアム系だよね、と約2か月くらいオリジナル曲の制作に集中していました。
こうき
今の自分たちが何を歌いたいのか、何を伝えたいのか、とにかく考えながら何曲も作っては捨て、作っては捨てを繰り返して自分たちなりのテーマを見つけて自信作を生み出したんですが・・・。
拓人
ドラマ主題歌のお話を頂いた時にまずその自信作を聴いて頂いたんですが、「実は今回のドラマはアップテンポのイメージなんですよね・・・」と(笑)。そこからまた180度元に戻して一から作り出す状況になりました(笑)。
こうき
デモの番号が30を超えるくらい候補曲を作りながら、それとは別にコンペ用の新曲も作っていたので頭の中がパンパンで寝れないし、寝たら締切りに間に合わなくて騒然とする夢を見てうなされるし、1日が24時間では足りない日々を延々過ごしました。
拓人
ドラマの雰囲気やテーマ、キーワードを頂いて自分たちの音楽を融合させていく作業は初めてでしたが、今思い返すとスゴく楽しかったです。ドラマでこの曲が流れた時には「アップテンポのこの感じが断然ドラマに合ってる!スゴイ‼」ってとにかく感激しました(笑)。
こうき
拓人から送られてきたデモを聞いた瞬間、イントロのギターのリフから「カッコイイ曲になる!」と思ったし、この曲は最初から力を持っていたと思います。でも僕の方は最終チェックでも歌詞の一番肝になるフレーズの変更の要望があって頭が真っ白になる事件もあったな(笑)。一晩悩んで「Shut up!」が出た時にはスタッフも含めてみんなで「出たーッ!!!」って大喜びしました(笑)。初めて生みの苦しみを味わったというか、噂には聞いていたけれど僕はこの追い込まれる感じの作業は実は一生やっていけるくらい好きだなと思いました(笑)。まさにこの曲は自分たちをレベルアップさせてくれた曲です。
―今作ではたくさんのコラボレーション作品も収録されていますね。
こうき
奇跡と言ってイイと思います。『DRIVE』では高校の同級生ですが俳優の須賀健太にMVを撮ってもらったし、先に話した『アブノーマル』のミュージックビデオではダンサーのSota君 (GANMI)、『ブラザーブラザー Amberʼs feat. IKE』ではSPYAIRのIKEさん、そして『かいじゅうたちのいたところ』ではCELSIOR COUPEさんが参加して下さいました。
拓人
プロデューサーとして小名川高広さんと奈良悠樹さんにもサポートして頂きました。自分たちはずっと音楽が好きという感覚だけでここまで来たけれど、そんな僕らに音楽理論を基礎から教えてくれたのが小名川さんと奈良さんです。超一流のプロフェッショナルな方たちからたくさんのことを教えて頂きました。それまで感覚的に理解していたことが言葉にできたというか、散らかった部屋を片付けてもらったような、霧が晴れたようにいろんな事が見えるようになりました。
こうきくん
『かいじゅうたちのいたところ』のCELSIOR COUPEさんは拓人が直接お願いしたもんね。
拓人
昔からCELSIOR COUPEさんが携わっている楽曲を聞いていたし、必ずチェックしてました。この曲のアレンジを考えた時に、僕はまっさきにCELSIOR COUPEさんを思い浮かべました。インスタのDMで作品に対する僕の思いを綴って、ぜひチャンスがあるならお仕事をお願いしたいですとラブレターを送らせて頂いたんです。まさかのお返事を頂いた時には本当に嬉しかったです。こうきくんが書いた歌詞の意味も裏側までしっかり理解して下さって、それを音にどう反映させるかアイデアを頂いたり、自分たちの望んでいた世界観をしっかり再現してくれました。お会いした回数は少ないけれど自分としてはとても心の距離が近いというか、音楽に関する感覚や気持ちの部分でグッと近いところにいてくれたというか。本当にとても楽しい時間を過ごせました。
こうき
この曲は僕が好きだった絵本「かいじゅうたちのいるところ」をモチーフにTikTok用にデモを作ったのが始まりです。物語をなぞるのではなく、オマージュしつつ「木綿のハンカチーフ」みたいに1枚1枚物語をめくっていくような展開を意識して作りました。歌詞も今の時代ならではの解釈もできるフレーズを選んでいて、他とは違うタイプの楽曲に仕上がったのでアルバムにピッタリだと思っています。
拓人
『DRIVE』は『VOSTOK』をリリースして「初めて東京から飛び出して車(機材車)に乗って全国行くよー!」という勢いのある曲を用意するはずでしたが全部キャンセルになってしまったので、そのうっぷんを全部盛り込んで作りました(笑)。
こうき
(須賀)健太が「めちゃくちゃイイ曲だよね」って連絡くれたのがきっかけで、ミュージックビデオを作ってくれる話になって。本人も忙しいはずなのにA4サイズ何枚にもビッチリと企画案を書いてきてくれて、撮影場所も衣装も小物も機材も全部用意してくれたし、高校の同級生のイツメンも撮影の手伝いに来てくれて現場でビックリしました(笑)。昔一緒に自分の好きなアーティストの曲でオリジナルMV風に携帯で撮影して遊んでたことがあるんです。その時に健太がカメラ前に手をサッとかざしてシーンをチェンジするテクニックを使っていて「カッコいいじゃん!」ってハシャいでたんです。今回のMVでもそういう場面があるんですよ。覚えていてくれたんですよね。「一緒に何かを作りたいね」という昔からの夢が叶った作品です。今度こそこの曲をひっさげて全国に行きたいです。
拓人
『ブラザーブラザー Amberʼs feat. IKE』ではIKEさんが僕たちのスタジオまで来てくれて一緒にプリプロしたんです。もう感激でした。こうきくんがSPYAIRの大ファンでIKEさんに憧れているのは知っていたし、何がどうなったら憧れのアーティストに会えるのか奇跡の積み重ねとしか言いようがないんですが、初めて楽屋でご挨拶をさせて頂いた時は二人ともガチガチで、何をお話させてもらったのか正直記憶が曖昧です(笑)。でもその時に『VOSTOK』を直接お渡しできて、少しお話させてもらってブルブルしながら立っているのがやっとだったのを覚えています。
こうき
僕は学生の頃からSPYAIRの大ファンだったので、SPYAIR結成15周年を記念したYouTubeの生配信を見た時にやっぱりカッコいいバンドだなと思ったんです。いろいろあったけどそれを笑いながらツッコミながら楽しそうに話していて、その雰囲気が自分の理想とするロックバンドの姿だったんですよね。自分もミュージシャンならば、この気持ちを音楽にしようと思って僕なりの解釈で歌詞を書いてこの曲を作りました。それをどうしてもIKEさんに聴いて欲しくて、曲を送った時に決死の覚悟で「一緒に歌ってくれませんか?」ってメッセージを書いたんです。そしたらすぐに電話がきて「やろうぜ!」って。その時僕らはそれぞれの家で宅録してたから、IKEさんが家まで来てくれることになっちゃって、今までやったことない床の雑巾がけをしたり必死で掃除しました(笑)。確かその日が宇宙飛行士が月面着陸した日だったんですけども、うちにもスーパースターが着陸する!ってテンパりました(笑)。
拓人
レコーディングはとにかく楽しかったです。休憩中も普通に遊んでいる状態をずっと撮影していて、ミュージックビデオにあるシーンは本当に自然体そのままなんです。間奏部分はIKEさんの提案で「せっかくフィーチャリングしているんだから俺らの関係性を音で表現しようぜ」って掛け合いの部分が生まれたり。
こうき
いざレコーディングになるとIKEさんは音質はもちろん、マイクの角度からかなりこだわって準備していたし、本物のボーカリストの姿を見ていて背筋が伸びました。「このフレーズはどういう表現したいの?」って何度も聞かれました。「だったらもう少し明るく歌おうかな」って録り直してくれたり、「歌い手がちゃんと表情をつけて歌えば全然雰囲気が変わるんだよ」ということも教えてくれました。その日1日でどれだけ勉強になったか。憧れのアーティストから尊敬する先輩になって、ミュージシャンとして後輩になれた日でした。このタイミングでこの曲を自分たちのアルバムに収録させてもらえることになったのは本当にありがたいです。僕らはSPYAIRイズム、IKEさんのイズムを受け継いでいきたいし、その決意も込めてこのアルバムには絶対に必要な曲だと思っています。僕らにとって宝物です。
―『君だけのロックンロール』は結成当時に作った曲ですね。
拓人
僕らが結成してすぐ企画ライブをやった時、デモ音源を会場に来てくれた方100人くらいに配ったんですよね。それ以来の初収録です。昔から僕らのことを知っている人にも成長した部分を見せたいし、僕らのことを知らない人たちにも聴いて欲しい曲。バンドの歴史を振り返るとこの曲は外せないので締めの曲になるのは必然でした。
こうき
拓人と一緒に音楽を始めた最初の頃に作った曲なんです。自分は最初はひとりで音楽をやっていたから、誰かと一緒に音楽をやるのがこんなに楽しいんだ!ってこの曲で知ったんですよね。「これ弾いて欲しいんだ」って言ったら目の前で弾いてくれる人がいる。2人で音楽を作るのが嬉しくて楽しくて、音楽を始める時の初期衝動が込められているんです。その時の幸せな気持ちを形に残したいと思っていました。リアレンジはされているんですが、当時のありのままの状態で残したかったので、実は当時の歌い方と声の出し方を自分で真似してレコーディングしました。
拓人
いろんな技術や覚えたテクニックはあるけれど、それよりも歌詞も曲もその時の青さを大切にしたかったので、当時にしか表現できなかったこと、若さならではの感覚を大切にそのままをパッケージしたかったんです。
こうき
当時は歌も家でレコーディングしてたので、たくさんある当時のデモ音源を聴き直しながら、どうやったら当時の歌い方が再現できるか研究して今回も家でレコーディングしました。極力当時のまま、アレンジされていない自然のままの『君だけのロックンロール』を歌いました。
―アルバムジャケットも印象的なビジュアルですね。
拓人
この時代感を収めるためにアルバムを作ったので、ジャケットのビジュアルもコロナ禍だとわかる防護服に身を包んでいるデザインを見た時、全会一致でこのビジュアルを選びました。『VOSTOK』は宇宙服でしたが、ヘルメットに映る景色は僕らが見るはずの宇宙船の中でした。今回は防護服のグラスに映るのは自分たちが曲を作っていた部屋「スタジオK」の風景になっています。
こうき
今思えば2年前に『VOSTOK』をリリースしてみんなの手元に届けることができていたからこそ、この間僕らとみなさんを繋ぐツールになってくれたと思うんです。あの時と今とは『VOSTOK』に対する捉え方も印象も違います。『VOSTOK』と対になる『SPACEK』を作ったことで僕らの成長を感じて欲しいのはもちろんですが、みなさんと一緒に過ごしてきた2年間をパッケージすることができたと思っています。あわせて楽しんでもらえたら嬉しいです。
―コロナ禍も少し収束の兆しが見えてきて、いよいよ本格始動ですね。
拓人
この2年間はやっぱり大変だったけど、どんなに大変でも音楽をやり続けていきたい。続けてきたからこそ叶った夢もあるし、これまで以上にやりたいこと、叶えたい夢がめちゃくちゃ溜まりました。これから一つ一つそれを実現するための時間にしていきたいと思います。
こうき
僕らは本当に周囲の環境に恵まれていると思いました。自分たちだけじゃできないことがたくさんある。イイ曲を作ることは当然だと思っているけれど、それよりも大事にしなきゃいけないこと、大切にしなきゃいけないものがたくさんあることに気が付いた2年でした。そういう感謝の気持ちを忘れずに進んで行きたいと思っています。全力で走りだす準備はできています!転んでもつまずいても、二人でできることは全部やっていきます!今度こそライブ会場でお会いしましょうね!
インタビュー・文/金丸 優子